顧客事例

顧客事例:全日本空輸株式会社

「おもてなし」の機会を逃さないデジタルマーケティングの実現へ

全日本空輸(ANA)がセールスとマーケティングのデジタル化を加速させている。Tealiumのリアルタイム顧客データプラットフォーム「Customer Data Hub(ユニバーサルデータハブ)」を採用し、ツールごとに分散するマーケティングデータの連携と統合を強化。顧客の行動をリアルタイムで捉えながら、顧客が置かれたシーンに応じて、最適なチャネルから最適なタイミングでのコミュニケーションを可能にしている。目指すのは、「おもてなし」の機会を逃さないデジタルマーケティングの実現である。

課題

  • 顧客行動を軸にしたリアルタイムでのマーケティング施策を実現
  • ツール連携とデータ統合により顧客のシーンに最適なコミュニケーションを可能に

ソリューション

  • タグマネジメント「Tealium iQ™」によりWebフロントでタグ情報を統合管理
  • データマネジメントソリューション「Tealium AudienceStream™」がリアルタイムでのデータ統合を実現

効果

  • リアルタイムかつ最適な施策により顧客体験価値とブランドロイヤリティを向上
  • 既存のAdobe Marketing Cloudツール群の機能を活かし施策の成果を改善

上質なもてなしのような体験を

ANAのマーケティング活動全般を担うマーケットコミュニケーション部は37名体制。その半数以上を占めるデジタルマーケティングチームは、ペ イド、オウンド、アーンドのトリプルメディアを活用したコミュニケーションを中心に、「ANA SKY WEB」への集客とそこでの航空券販売をミッショ ンとしている。今や国内線チケットの5割以上をWeb販売が占めているという。マーケットコミュニケーション部の石川圭太氏は次のように話す。

「ANAは国際線事業をドライバーとする成長戦略を打ち出しています。マーケットコミュニケーション部では、インバウンド需要を捉えた新規でのお客様獲得はもちろん、既存のお客様にもANAを選び続けていただくための施策を常に工夫しています。お客様ごとに最適なタイミングで、最適なチャネルから、最適なコミュニケーションを提供し、お客様にとって心地良い、上質なもてなしを受けているかのような体験を目指しています」

顧客行動を軸にしたリアルタイム施策

ANAでは、2015年にAdobe Marketing Cloudを本格導入してデジタルマーケティングの基盤として活用してきたが、いくつかの課題が顕在化していたという。

「計画を立てる、予約をする、搭乗するなど13のお客様のシーンを設定していますが、お客様のステータスやマインドはシーンごとに変わります。刻々と状況が変化するお客様を『おもてなし』するには、顧客行動を軸にしたリアルタイムでのマーケティング施策が必須です。複数のシステムに格納されているデータを統合させて、お客様のシーンに最適な施策を見極めなければなりません」(石川氏)

マーケットコミュニケーション部の永山裕氏は、例を挙げて次のように説明する。

「ANA SKY WEBでは、お客様の行動履歴に応じてトップバナーを出し分けています。ロサンゼルス行きのチケットを検索したけれど買わなかったお客様に、次の来訪時にロス行き便をお勧めするバナーを出すような施策が典型的です。一方で、リターゲティングメールの配信にはバックエンドの集計処理が必要で、最大で24時間のタイムラグが発生していました」

もうひとつ課題があった。Webサイトに埋め込まれた膨大な数のタグの管理である。

「ANA SKY WEBは規模が大きいため、新規タグの導入にはシステム部門に開発を依頼しなければならず、数ヶ月単位のリードタイムを要していました。これを解決する方法を検討していた時に、画期的なタグマネジメント機能を提供するCustomer Data Hubに出会ったのです」(石川氏)

「顧客の行動データを収集するために必須であるタグマネジメントの複雑性を解消し、収集したデータが常に整理整頓されていて、やりたいときにマーケティング施策に即座に活かせる。それがTealiumのソリューションでした」(永山氏)

Customer Data Hubを基盤にリアルタイムデータ連携を実現

TealiumのCustomer Data Hubは、タグ管理と顧客行動データのリアルタイム収集を担う「Tealium iQ™」、収集した顧客データの統合とバッジの付与、その顧客データをマーケティングチャネルに連携させる「Tealium Audience Stream™」、統合された顧客データをデータベースとして蓄積しマーケティング活動で利用する「Tealium DataAccess」によって構成される。「複数システムのデータ統合にはバックエンドでのバッチ処理が不可欠でしたが、Customer Data Hubではフロント側で即時処理するため、データを取得した瞬間にアクションを起こせます」(石川氏)

まさに「ユニバーサルデータハブ」として、マーケティングエコシステムの基盤になるわけだ。しかも、データの収集、統合、蓄積、アクションまでを一気通貫でできる。

「Customer Data Hubは、運用さえ始まればシステム部門に依存することなく私たち自身でタグを管理できるようになります。新しいタグを追加することも容易で、極端に言えば明日からでも新たなタグを運用できるようになります。このスピード感は圧倒的です」(永山氏)

顧客の“今”を把握できるバッジ機能

永山氏は「Customer Data Hubの『バッジ機能』を利用することで、より効果的なコミュニケーションとアクションが可能になる」と期待を込める。「同じお客様でも出張と家族旅行では行動が変わります。Customer Data Hubでは、ターゲット顧客に『バッジ』という機能を動的に付与、変更できます。たとえば、ビジネスマン属性のお客様が時間帯と閲覧コンテンツから家族旅行を検討していると判断して『家族旅行バッジ』が付与された瞬間、レンタカーの推奨を小型車からワンボックス車に変えるような施策も可能です」

最後に石川氏が次のように締めくくった。

「ANAは、お客様にご満足いただけるサービスを常に心がけています。これまでは人がサービスを提供してきましたが、今後はデジタルの世界でもお客様を『おもてなし』したいと思っています。お客様とのより良いコミュニケーションこそが、ビジネスの持続的な成長を支えていくのだと信じています」

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