通信事業者は、より親しみやすく、より顧客中心になりつつある

5Gのような技術の登場によって、通信事業者は一般的な商品ではなく、提供するサービスによって自社の優位性を明確にできる一生に一度の機会を得ることになります。

AI、AR、VR、XRによって実現されるコネクティビティ(接続性)の革新によって、新たな収益源を生み出す可能性が出てきました。しかし、この機会を十分に活用するには、”顧客や潜在顧客との関わり方”という、接続性とは別の側面についても考慮しなければなりません。

実際、通信事業者は断片化して十分に活用されていない大量のファーストパーティデータを保有しています。顧客の視点から物事を見ていないため、通信事業者は単にコモディティサービス提供事業者として見られがちです。ここで言う一般的なサービスとは、「サービスにおける問題への迅速な対応」だと多くの人は考えています。しかし、オーストラリアの通信事業者では顧客の約半数が、「通信事業者への最初の問い合わせで、明確な解決策が得られなかった」と解答しています。

データは、パーソナライズされた顧客体験の中核をなすものです。しかし、データが断片化されているため、通信事業者は顧客を把握することが難しく、顧客に対して適切な提案をしたり問題を解決したりすることは困難となっています。
マルチチャネルマーケティングは一般的ですが、全体のコミュニケーションを一元化して管理するオムニチャネルマーケティングはまだそれほど一般的ではありません。

その一方で、明るい進歩の兆しもあります。アジア太平洋地域やオーストラリア・ニュージーランド (ANZ)地域では、大量のリアルタイムデータを処理して、それを請求システムや支払いなどの他のソースからのデータと組み合わせるために、一部の事業者が自社ツールを再構築しています。事業者が顧客の全体像を把握することで、より詳細なセグメンテーションとパーソナライゼーションが可能となり、顧客はより意味のあるコミュニケーションや高い満足度を得られるようになります。

通信事業者は、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)が効果的なオムニチャネルコミュニケーションの実現において重要な要素であると認識しつつあります。強力なテクノロジーを使用してデータを統合および分析することで、マーケティング担当者をはじめとする顧客志向のリーダーの負担が軽減され、顧客との対話内容や提供すべき体験についてより深く考えることができるようになります。

CDPは、単独で使用するソリューションではなく、本質的に様々なシステムからのデータを統合するものです。そのため、組織全体のテクノロジーと連携して最適化を行い、最終的にはサイロを解消することで分散している情報やデータを共有します。CDPを顧客データのサプライチェーンの中心に配置することは、通信事業者のマーケターが行うことができる最も重要かつ変革をもたらす決断です。

満足のいく顧客体験を提供できるかどうかが、通信事業者のブランドを際立たせる要因となりますが、それが複雑である必要はありません。現在、通信事業者は新たな成長期を迎えようとしています。それは単に技術的に強力であるだけでなく、ブランドや顧客に重点を置いたものです。一部の通信事業者がすでに実行しているように、通信事業者は徐々に顧客中心へと向かっているのです。

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Shinsuke Umezawa

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