お客様のデジタル行動をTealiumで瞬時に把握。メーカーと販売会社が一体となり「ワンマツダ」でお客様の期待に応える体験を提供

「Be a driver.」を合い言葉に、クルマに乗る楽しさを提供するマツダ株式会社。メーカーと販売会社が一体となった「ワンマツダ」でブランド価値向上に取り組む同社は、お客様ひとりひとり(個客)にアプローチするコミュニケーション基盤の確立が課題になっていた。そこでTealium Customer Data Hubを導入し、Webサイト閲覧における個客の動向に基づき、行動の変化に合わせてフォローアップメールを送信している。その結果、販売店への試乗申込みが約1.7~2倍近く増加するなど、個客との関係構築から、来店後の試乗、成約にいたるカスタマージャーニーを実現している。

お客様のデジタル行動を、Tealiumで瞬時に把握しメーカーと販売会社が一体となり「ワンマツダ」でお客様の期待に応える体験を提供
Challenge:
  • 10年以上にわたって続く「ブランド価値経営」のさらなる進化
  • 個客にアプローチするコミュニケーション基盤の確立
  • メーカーと販売会社との連携によるシームレスな個客とのコミュニケーション
Solution:
  • Tealium Customer Data Hubを利用した個客動向の把握とタイムリーなフォローアップメールの送信
  • Tealium Customer Data Hubのバッジ機能を利用した詳細な個客プロフィールの把握と分析
  • Tealium iQ Tag Managementの同意管理機能を利用したプライバシー保護
  • Tealium Predict MLを活用した双方向のコミュニケーションを期待する可能性が高い個客の自動予測
Results:
  • フォローアップメールを送信した個客の試乗申込みが、送信しない場合と比較して1.7~2倍増加
  • 試行錯誤が繰り返し実行可能なコミュニケーション基盤と運用体制の確立
  • 販売店への来店前の関係構築から、来店後の試乗、成約にいたるカスタマージャーニーの実現

「ブランド価値経営」の実現に向けてメーカーと販売会社の関係性強化へ
2000年代以降“Zoom-Zoom”をブランドメッセージに掲げ、お客様との絆を築いてきたマツダ。世界から高い評価を受けているデザインや、優れた燃費性能を誇るクリーンディーゼルなど、オリジナリティあふれる同社のクルマは、世界中のクルマを愛する人々を虜にしている。2020年に創立100周年の節目を迎えた同社は、次なる100年に向けた一歩を踏み出した。

現在、世界の自動車業界にCASEと呼ばれる「コネクテッド化」「自動運転」「シェアリング」「電動化」の波が押し寄せている中、2019年11月に公表した中期経営計画では、経営方針を「『人と共に創る』マツダの独自性を大切にし、マツダとの強いつながりを持ち続けていただける商品・技術、カスタマーエクスペリエンスによってブランド価値を高めること」と位置付けた。

そして2030-40年のありたい姿を「マツダに関わるすべての人々が、生き生きと感じ、マツダとのつながりに誇りや愛着を感じる会社になる」とした。その根底にあるのは、同社が10年以上前から一貫して打ち出しているブランド価値経営である。国内営業本部 営業開発部 主幹の田渕有策氏は次のように語る。

「過去に数々の困難を乗り越えてきたマツダは、会社全体を1つのブランドとして捉え、クルマを愛するお客様に“走る歓び”を提供してきました。走る歓びの中には、デザインの良さ、安全性の高さ、走りの良さなどが含まれ、マツダをお選びいただくことで、お客様に人生の輝きや豊かさを感じていただけるブランドであることを目指しています」

ブランド価値経営では、メーカーとお客様ひとりひとり(個客)との直接的な接点が重要であり、そこから先の販売店における試乗、購入、アフターサポートを通した「マツダ体験」の価値向上が重要な施策となる。そこで同社は全国の販売会社と一体となり、「ワンマツダ」としてブランド価値の向上に取り組んでいるが、個客にアプローチするコミュニケーション基盤の確立が課題になっていた。

同社ではオフィシャルWebサイト上に、個客が自分で見積りができる「カンタン見積り」、カタログ閲覧とカタログ請求、試乗車検索と試乗申込み、販売店への商談申込み、イベント情報などを配信するメールニュースレター登録などの接点を設けている。しかし、ニュースレター以外は会員登録を必要としていないため、個客の動向を理解できているという状況ではなかった。

「10年以上かけてブランド価値経営を訴求してきた結果、マクロな視点では成果を上げてきました。一方で、ミクロな視点でのコミュニケーションはまだまだ手探りの状態です。私たちの目標は、Web経由で接点を持ったお客様ひとりひとりに対して最適なタイミングでアプローチし、販売会社でのマツダ体験をご案内することと、販売会社からのフィードバックを受けてそれを施策に反映し、お客様とのつながりをより深く、強くすることにあります」(田渕氏)

個客動向をリアルタイムに捉えてアクションできるスピード感を評価
個客の行動や振る舞いを理解する新たな仕組みを模索していたマツダは、パートナーからの紹介でTealium Customer Data Hubの存在を知り、新たなコミュニケーション基盤に採用することを決定した。決め手になったのは、個客のモーメントをリアルタイムに捉えて瞬時に判断し、即座にアクションまで実行できるスピード感と連続性だ。

「私たちが考えていたのは、販売会社で実際にお客様から評価をいただいている優秀なスタッフの行動をデジタル上でも再現できないだろうか、ということです。信頼されるスタッフは、お客様のご要望をあらゆる側面から理解し、マツダの価値をお伝えしていきます。一方で、お客様はどれだけクルマが好きでも、マツダのことを四六時中考えているわけではありません。ブランド側としては、1日24時間の中でお客様のモーメントを捉え、最適なタイミングでアプローチするべきです。この2つを同時に実現できるのが、Tealiumでした」(田渕氏)

検討時は、カスタマーデータプラットフォーム(CDP)やマーケティングオートメーション(MA)の活用、CXプラットフォームの導入も比較したが、オンラインだけでなくオフラインも含めたデータ統合・連携ができること、データの拡張性、セグメント要素を付与するバッジ機能などを評価してTealiumを採用している。

AudienceStream CDPでバッジを付与した個客の行動を詳細に分析
Tealium Customer Data Hubは、パートナーの支援を受け、2019年1月から4月までの4カ月で導入した。現在、データを収集し管理する「Tealium iQ Tag Management」と、個客のプロファイルに基づいてアクションを実行する「Tealium AudienceSteram CDP」の2つを利用して、施策を検討している。

現在はAudienceStream CDPで個客プロファイルをリアルタイムに統合し、個客の行動に合わせて「マツダのクルマを実際に見てみたい」と感じていただけるようなフォローアップメールを送信している。例えばカタログを請求する前の個客行動を把握しながら、「デザインに興味がある」「クリーンディーゼルに興味がある」といった情報をAudienceStream CDPでバッジを付与しておく。個客の行動の変化を捉えたら、瞬時にその情報を連携しているMAツールに伝達し、あらかじめ用意しておいたコンテンツの中から、興味・関心に合わせたものをメール送信する流れだ。これまでデザインに興味を示していた個客が、クリーンディーゼルに関連するページを閲覧し始めた際には、クリーンディーゼルの理解を促すシナリオに沿って改めてメールを送信する。

「フォローアップメールの目的は、マツダのクルマに乗ってみたいという感情を高めていただき、試乗を体験してもらうことにあります。そのため、過去のデータから試乗申込みや来店行動と相関性の高いWebページを分析しておき、そのページを経由したお客様に対して適切なコミュニケーションを行うことでお客様のワクワクを少しずつ高めていくことを目指したいと思っています」(田渕氏)

サイト流入者、ページ閲覧数、ページ滞在時間などは、随時アクセス解析ツールで分析しているが、AudienceStream CDPを活用することで、バッジを付与した個客の行動をより詳細に分析できるところがメリットだという。バッジは、一定のPV数、ページ閲覧と購入検討の関連性、検索ワード、サードパーティのDMPから取得した情報など、サイト訪問者の特性に応じて付与している。

一方、Tealium Customer Data Hubの活用を開始してみて、改めてその有用性に気付いたのが、Tealium iQ Tag Managementの同意管理機能だ。同意管理機能により、データプライバシーに関する記述をWebページ内に追加することができ、閲覧者に個人データの管理権を与えながら、同意の取得、同意設定、精度の高いプライバシーの制御と管理が可能になる。

「現時点で利用はしていませんが、欧州で個人情報保護に関する規則のGDPRが適用されている中、日本においても欧米並みに制約が強化されることが想定されます。その際も同意管理機能を活用すれば、対応の負担が軽減されることが期待できます」(田渕氏)

今後はTealium AudienceStream CDPに内蔵された機械学習テクノロジーであるTealium Predict MLを活用することも検討している。Predict MLでマツダとの双方向コミュニケーションを望んでいる可能性が高い個客を自動予測することを考えている。結果として、パフォーマンス改善、コスト削減、運用効率化などが期待でき、限られたリソースの有効活用が実現する。

フォローアップメールの送信で試乗申込みの件数が約1.7~2倍増加
マツダがTealium Customer Data Hubの本格運用を開始してから1年半以上が経過しているが、確実に成果を上げつつある。導入後に新たなKPIを策定し、その指標に達した個客に対してコミュニケーションを実施した結果、試乗申込みの件数はメールを送信しない場合と比較して1.7~2倍となったという。

こうした目に見える効果も重要だが、マツダにとっての最大の効果は他にある。それは試行錯誤が繰り返し実行できる基盤と運用体制を確立できたことと、個客に正面から向き合ってコミュニケーションを深めていく方向性を示すことができたことだ。

「移ろいやすいお客様の行動や感情を的確に捉え、タイミング良くアクションすれば、反応率が向上するのではないかという仮説を、目に見える形で実証することができました。お客様とのコミュニケーションはこれまで、販売店にご来店いただくことを促すことまでが限界でしたが、今後は販売店に来店し、試乗してみてからの先、さらにはご成約いただいてからのカーライフを通じてお客様との絆を深めることを推進していきたいです」(田渕氏)

販売会社との連携を活かしながら施策のバリエーションの拡大へ
マツダでは今後も販売会社と「ワンマツダ」として、組織の枠を超えて個客にブランド価値を提供し、信頼を構築しながらつながりを深めていく考えだ。田渕氏は「今後はカーライフを通じた横の連携を活かしながら、お客様のモーメントに対応する縦方向の施策のバリエーションを拡大していくことに注力していきます。お客様からすると、愛車を選ぶことも、購入して楽しむことも、すべてが貴重な体験です。私たちはお客様がそれぞれのカーライフを満喫できるよう、Tealiumを活用しながらブランド価値と体験の向上を進めていきます」と語る。

Tealiumからの業務サポートに対しては、ユーザー会を通した他業種とのコミュニケーションが刺激になったと話す田渕氏。今後も現場のマーケターの視点に立った施策の支援に期待を寄せている。

マツダ株式会社
国内営業本部
営業開発部 主幹
田渕 有策 氏

Resource Type: Case Study