需要はそこにあります
Tealiumが、英国、イタリア、スペイン、ドイツ、フランスにおいて、最近おこなった消費者調査(英語)によると、リテールバンキングの顧客は、自分に届く広告を最適化するために、アカウントデータを効率よく使って欲しいと考えていることが分かりました。顧客の需要がある以上、企業は顧客の要望に応える必要があります。
しかし、企業がデータ分析を徹底し、顧客に合わせた特別なプロモーションを実施したところで、企業に感謝する顧客は半数程度しかいないのも事実です。それゆえに、顧客とのコミュニケーションを戦略的にいつ、どこで、どのようにおこなうべきかを理解しなければなりません。なぜなら、コミュニケーションのミスは、顧客の期待を裏切ることになり、機会を失う危険性すらあるからです。
ここでは、銀行の顧客理解において重要となる、3つの原則を紹介します。
顧客のペースに合わせる必要性
企業は、常に熱意をもって顧客と関わるべきですが、過剰な熱意は、時に厄介者として扱われる可能性があります。顧客は一人ひとりにカスタマイズされたプロモーションの提供に前向きですが、乱用すると効果がなくなり、時には迷惑になることを企業は理解しなければなりません。ですから、企業にとって顧客への熱意は、信頼を確保するための強力な基盤とはいえません。
では、顧客にとって「正しい」コミュニケーション頻度とはどれくらいなのでしょうか?皆さんもお気づきのように、毎日ではありません。調査対象国(英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン)において、毎日が最適と回答した消費者はそれぞれ約3%でした。最適な頻度は、月1回のコミュニケーションで、フランスとスペインは30%、ドイツは31%、イタリアと英国では26%と、最大となっています。
年齢が配信頻度に与える影響を理解する
ただし、実行に移す際に、年齢の要素を加味することを忘れてはいけません。これは明確でクリーンなデータが、高品質で成功するマーケティング戦略に不可欠な要素であることを示しています。
頻度に関して、この調査からは、顧客が年齢を重ねるにつれて、需要が増加することが分かりました。英国では、18~34歳の20%が毎月の配信を希望しており、35~54歳では25%、55歳以上では32%に増加しています。この結果は、どの国にも共通しており、特にフランスでは数値がそれぞれ 21%、30%、46%に跳ね上がっています。つまり、若い世代では 5人に1人であるが、高齢世代では約2人に1人まで増えています。上記データから断言できることは、年齢グループにおける需要の違いを無視すると、1つまたは複数の顧客グループが離れていくリスクがあるということです。
また、コミュニケーションの頻度を週1回にまで下げた場合も同様に、年齢グループにおけるの考えの違いが見られました。この場合、若い年齢のグループが高齢のグループよりもはるかに多く、週一回のコミュニケーション頻度を受け入れていることがわかります。例えば、フランスでは、18~34歳では19%、35~54歳は12%、55歳以上は7%の人々が、銀行からのメッセージを毎週受け取ってもよいと考えています。
成功の鍵は一人ひとりにパーソナライズされたコミュニケーション
顧客は、一人ひとりにパーソナライズされたプロモーションを実現するために、銀行が現在保有するアカウントデータを有効に利用することを望んでいます。そのためには、適切なツールを使用してデータを統合、分析・解析、理解して、データを中心に顧客維持戦略を実行する必要があります。
上述のコミュニケーションの頻度と年齢に関する調査結果データは、すべての顧客に対する改善戦略を策定するには、厳密なテストが必要であることを示しています。段階的に顧客プロファイルを構築していくことで、最大の利益を達成するマーケティング活動を確立できます。さらに、プロファイルは、時間の経過とともに、より精度を高めていくことが重要です。また、機械学習ツールを活用することで、このプロセスを効率化し、強化することが可能になります。なぜなら、匿名化された幅広いデータを蓄積することで、個々の顧客がとる行動の可能性を把握するための高精度なインサイトを構築できるようになるからです。
万能策はありません。
顧客一人ひとりの銀行取引明細書に固有の情報があるように、銀行からのコミュニケーションも、一人ひとりにパーソナライズするべきです。
調査レポートの全文はこちらから(英語)ダウンロードしてご覧ください。