マーケターやアナリストの皆さん、2021年になりデータプライバシーは、情報セキュリティや法務部門だけの問題ではなくなっています。データプライバシーの考え方が、消費者行動の変化、新たな規制、技術の変化と、どれをとってもマーケティングや顧客体験において不可欠な要素になっていることは明らかです。つまり、プライバシーはもはや金銭的な問題を避けるためだけではなく、消費者の信頼や生涯にわたるブランドとの信頼関係を低下させるという、間違いなくコストのかかる影響もあるのです。
そこで、プライバシーに関しての疑問を抱えたまま2021年に入る前に、「マーケティングや分析の専門家として、今年はどんなデータプライバシー用語を念頭に置くべきか?」、私たちは自分自身に問いかけてみたいと思います。そのヒントとして2021年に重要となるであろうプライバシー用語を見てみましょう。
結論からいうと、今年のテーマは、サードパーティCookieなき後の世界に向けて、皆さんが耳にする新しい用語についてです。
ファーストパーティデータ
ファーストパーティデータとは?:ファーストパーティデータとは、ウェブプロパティ、アプリケーション、または独立したシステムおよびデータソースから収集され、お客様の企業が直接管理しているデータです。とてもシンプルなものです。企業がデータを取集する際に、まずは消費者の信頼を獲得しなければなりませんが、自社のデータであれば簡単にプライバシー要件やマーケティングニーズに合わせて効率的に自動化を行うことができます。
2021年に重要な理由:ファーストパーティデータは顧客体験を理解するために重要な要素です。ファーストパーティデータがあれば、消費者が企業やブランドとどのように関わっているかを分析することで、顧客体験を改善し、全体的にも個別にもより良いエンゲージメントを提供することができます。CCPAやGDPRのようなプライバシーに関する法律や、技術の変化によって、今年もファーストパーティデータがより重要になっています。詳細は後述しますが、先にファーストパーティデータ戦略について詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
CPRA
CPRAとは?:カリフォルニアプライバシー権利法 (California Privacy Rights Act) は、カリフォルニア州の住民投票「Proposition24」で、CCPAを補強するため2020年11月に可決されました。これにより、カリフォルニア州民は、企業が自社のデータを販売しないように要求できる党になり、また法の施行と強化に重点をおいた新たな機関が設立されることになりました。
2021年に重要な理由: CPRAは、2023年7月1日まで施行されませんが、それまでは対処しなくていいということではありません。プライバシー法の継続は、企業がビジネスで出入りするデータを全て可視化し、管理する必要がある数多くの理由の1つに過ぎません。では、どこからCPRAに対処すればいいでしょうか? この課題に対しては、「CCPAに関するマスタークラス・シリーズ (英語)」ウェビナーでも紹介しています。このウェビナーでは、マーケター、アナリスト、開発者がCCPAの基本から最良の対処法までを網羅しており、規制遵守に役立つデータ戦略を構築する方法について説明しています。
データの非推奨(Data Deprecation)
データの非推奨とは?:Forresterの造語 で、法規制、ビジネス、消費者、ブラウザのプライバシーに関する変化などが、マーケターやアナリストが今まで行っていたデータにアクセスする方法に最終的にどのような影響を与えるかを強調する言葉です。
2021年に重要な理由:データの非推奨、特にサードパーティCookieの非推奨化は、マーケターが新規顧客の獲得や既存顧客のリターゲティングを効果的に行うために、プライバシーを優先したデータ収集と活用方法を再考しなければならないことを意味します。ほとんどのマーケターにとって、この変化は大きな影響を与えるでしょう。そのため、ファーストパーティ顧客データの資産化に投資してきたマーケターは、おそらく長期にわたって優位な立場にいることができるでしょう。
ファーストパーティデータを取得する方法の選択肢と、柔軟に対応できることが重要です。弾力性のあるトラッキングの構築、ID照合、オーディエンスの構築、および企業の管理体制の強化が可能で、広告主との連携を強化するオプションを提供する(Tealiumのような)ツールが必要になります。
ウォールドガーデン
ウォールドガーデンとは?:技術、情報、ユーザーデータを共有せずに、自身のみで保持する組織のことです。マーケティングと分析の世界では、自社のプラットフォームで広告のセグメント化やターゲティングを行うために、独自のファーストパーティデータやサードパーティデータを蓄積している企業を指す言葉として使われます。また、別の言葉で表現するならば「クローズドプラットフォーム」提供ベンダー、と置き換えた方がイメージしやすいかもしれません。
2021年に重要な理由:サードパーティCookieの崩壊にアドテクノロジーが対応しようとする一方で、過去1年間この不測の事態に備えてきた「ウォールドガーデン」が提供する一貫した体験とレポート手法に広告主は殺到するでしょう。広告主とウォールドガーデンとの関わり方は、今年も変わり続けると予測(詳細はこちら)されます。ウォールドガーデンから最も恩恵を受けるのは、キャンペーンや測定の最適化に利用できる、顧客の同意を得たファーストパーティデータを所有・管理している企業やブランドです。
CDP
CDPとは?:ガートナー社は、「カスタマーデータプラットフォーム(CDP) とは、企業のマーケティングやその他のチャネルから得られる顧客データを一元化して、顧客のモデリングを可能にし、通知や提案のタイミングおよびターゲティングを最適化するマーケティングシステムである」と定義しています。これはCDPのかなり昔からある定義ですが、CDPはプライバシー規制の取り組みにどのように役立つのでしょうか?簡単に言えば、顧客を一元化して見るシングルカスタマ―ビューから利益を得るのはマーケターだけではありません。データプライバシーの担当者も、あらゆるチャネルの顧客データからカスタマービューを得て、新たなプライバシー規制に容易に対応できるようにしたいと考えています。CDPは、プライバシー規制に加えて、顧客プロファイルの構築、オーディエンスの構築、ファーストパーティデータのフロー管理を支援するために、独自のアイデンティティグラフの構築にも役立ちます。
2021年に重要な理由:今日、消費者のプライバシー意識はかつてないほど高まっています。信頼できる顧客データの単一ソースを構築することで、CDPはすべてのチャネルで顧客のプライバシー要求を満たし、尊重されることを保証することができます。プライバシー部門では、信頼できるデータソースを単一にすることで、顧客からの要求により簡単に対応できます。企業もまた、エンゲージメントチャネル全体にわたって、ファーストパーティデータをより簡単に収集し、一元化し、活用することが可能です。顧客中心主義のアプローチとしてファーストパーティデータの収集と活用を考慮する上で、CDPは重要な基盤となります。CDPは、プライバシー規制の要求に応えながら、パーソナライゼーションの取り組みを強化できます。
まとめ
ここでは、2021年に必要なプライバシーに関する用語をすべて網羅したわけではありませんが、皆さんの取り組みにおいて良いきっかけになることを願っています。
データプライバシーに関する詳細な情報は、次の資料でもご覧になれます。