モバイルデータとは?なぜ重要なのか?
モバイルデータとは何でしょう?これはスマートフォンの定額プランについてくるデータ容量のことではありません。顧客がモバイル端末を使用する際に生成される膨大な量のデータに関する話しです。このデータは、多数のモバイルデータソース(英語)の中で、モバイルで閲覧したウェブサイト、ネイティブアプリ、またはデバイス自体(GPS座標など)から取得されます。
モバイルデータは独特かつ複雑ですが(モバイル用語集も参考にしてください)、これらを最も効果的に活用するには、データを他のすべての顧客データと統合する必要があります。不完全なインサイトによって、一貫性のない不適切な顧客体験を生み出さないようにするためです。コンテンツの消費がデスクトップパソコンからモバイル端末に移行している(コネクテッドデバイスやIoTからのデータもますます増加)ため、企業はデータ戦略を統合して膨大な新しいタイプのデータ基盤を構築することがこれまで以上に重要なのです。ただし、モバイルを単にこれまでと別のチャネルのように管理し、さらにデータのサイロ化を生み出さないように注意しましょう。これらのモバイルデータを包括的に統合されたデータサプライチェーンに組み込むことで、顧客エンゲージメントを向上し、一貫して関連性のある顧客体験を提供するための基盤になります。
モバイルからの顧客データを管理する時に考慮する独自の事柄
モバイルからのデータを管理するには、従来のウェブトラッキングにおける問題とは異なる、以下のような独特なことを考慮する必要があります。
- データの収集
ネイティブアプリデータの収集と使用は、モバイルウェブからのデータ収集と使用とはまったく異なります。モバイル用に開発されたモバイルアプリとウェブサイトでは、大きく異なる技術とデプロイ方法( Google AMP HTML(英語)など)が使われており、分析または顧客体験の向上に、データの必要性に関係なく、データの収集、管理、配信には、根本的に異なる方法が必要となります。データの管理方法が異なるだけでなく、収集されたデータは、ネイティブと互換性のない他のデータソースと統合する必要があります。詳細は以下で説明します。さらに、モバイルの一部のデータは、ウェブとは完全に異なる分類法を使っています。ウェブサイトでのページビューと、ユーザーのモバイルアプリ上の「画面」ビューの測定について考えてみましょう。アプリの構造上、「画面」では、データを整合する特別な手段を講じないと、「ページビュー」として測定できない可能性があります。
- アプリストア
モバイルアプリの変更には、アプリストアへの再提供とユーザーによる更新作業が必要です。承認が不要でいつでも更新できるWebサイトとは異なり、モバイルアプリの変更(基本コードの変更であっても)は、承認のために再提出をする必要があります。さらに、ユーザーは更新プログラムをダウンロードしなければ、その更新を適用することができません。適切なテクノロジーと開発プロセスを用いれば、アプリを戦略的に管理し、再承認やアプリの更新を必要とせずに変更を加えることができます。
- 顧客エンゲージメント
顧客は、さまざまなモバイル端末やアプリだけでなく、モバイル以外の場所でも企業やブランドと関わっています。そして、これは当面の間続き、2020年にはモバイルコマースがeコマース全体の45%に達すると予測されています。モバイル専用のソリューションを購入するだけでは、さまざまなエンゲージメントの場にまたがる包括的な顧客体験の課題を解決することはできません。このようなアプローチでは、データがサイロ化し、さらなる問題を引き起こすことになります。
- モバイルシグナル
スマートフォンは、一般的にデスクトップパソコンほど高性能ではなく、インターネットシグナルも強い訳ではなくありません。つまり、トラッキング、顧客体験、パフォーマンスにおいて、妥協しなければならないこともあるでしょう。パーソナライゼーションをおこなうには、デバイスのリソースが必要です。また、トラッキングコールにはさらに多くのリソースが必要です。顧客のモバイル端末の処理能力は限られており、顧客はそれほど長く(長くても数秒程度)待たされることを望んでいないのです。
- バッテリー持続時間
スマートフォンのバッテリー持続時間は限られています。このため、デバイスの処理能力を消費するのと同様に、モバイルバッテリーの消費を早める可能性のある高負荷の顧客体験や、トラッキングのニーズとパフォーマンスのバランスを取る必要があります。
モバイルデータの収集と配信
上記のすべてのモバイル特有の検討事項と複雑さを考慮し、モバイルから取得するデータを管理するには、数多くの独特なプラクティスが必要であり、最終的には、顧客が従事する様々な手段に対応するために柔軟な取り組みをする必要があります。
SDKとは何ですか?モバイルでSDKはいつも使いますか?タグ付けとは何が違いますか?まだタグは必要ですか?JavaScriptトラッキングタグと同様に、SDKは、ユーザーエンゲージメントに関するデータを収集して送信することを目的としたコードの集まりです。SDKは通常、ネイティブアプリで使われ、JavaScriptタグは通常Webサイトで使われます。ただし、上記の理由(パフォーマンス、バッテリー寿命、さまざまな分類など)により、SDKの管理には、JavaScriptタグの管理とは異なる一連の戦略的妥協が必要です。多くの場合、最高のカスタマーエクスペリエンス(高速で関連性の高い)の提供と、ニーズの追跡の間には矛盾があります。つまり、パーソナライズされたエクスペリエンスを向上し、アプリのパフォーマンスを報告し、ユーザーエンゲージメントを追跡する処理能力は限られています。SDKは機能を強化しますが、SDKを追加すればするほど、パフォーマンスとカスタマーエクスペリエンスは低下してしまいます。
このエクスペリエンスの低下により、開発者は分析要件がアプリのパフォーマンスを妨げるため、不満を感じることがあります。または、マーケターは、最適化のために必要なインサイトを得ることができなくて、不満を感じるかもしれません。つまり、データの収集または配信で、SDKまたはJavaScriptタグのどちらを使おうと、この違いに対応した、モバイルと他のデータソースのデータを標準化する技術とプロセスを企業は採用すべきです。
クライアントサイドとサーバーサイドのデータ収集、管理、配信
貴重なリソースを戦略的に管理する1つの方法は、クライアントサイド(デバイス上)とサーバーサイド(クラウド内)の両方でデータを管理するハイブリッド戦略を利用することです。クラウド内のサーバーサイドでデータを管理できる場合、処理負担はクライアントサイド(デバイス)から実質的に無限の処理ができるクラウドに移動します。ただし、クラウドでのデータ管理は、多くの場合、費用がかかる場合があり、費用の問題を戦略に組み込む必要があります。理想的には、この戦略においてコスト、パフォーマンスおよび顧客体験のバランスを取るには、柔軟性のある技術を採用するべきでしょう。
Cookieだけで、データは取得できませんか?IDFAとは何ですか?
歴史的にみて、Cookieはクライアントサイドのデータを管理する効果的な方法でした。Cookieはクライアント(デバイス)に、ユーザーのインタラクションに関するデータを保存します。ただし、Cookieは、データを管理する包括的アプローチとしては、時代とともに効果が低下しています。サードパーティCookieの使用を制限するブラウザ(モバイルとデスクトップの両方)とデバイスが増えています。かつて企業は、Cookieに保存されている顧客IDについてユーザーのデバイスを確実に確認していましたが、顧客のプライバシーへの配慮と規制強化により、そのようなCookieの存在は少なくなっています。
市場のこの隙間を埋めるために、Appleデバイス用のIDFA(「広告識別子」)番号とAndroidデバイス用のAAID(「Android広告識別子」)番号が、人物識別の信頼できる方法として使用されています。そのため、Cookieを使ったユーザーの識別を、IDFAまたはAAIDを使った識別に変更し、このデータまたは他のデータを紐づけ用の共通識別子として使い、異なるデバイスまたはチャネルから来るデータをスティッチして、統合することが合理的になっています。適切な技術の導入で、企業はIDFAやAAIDを一旦収集した後、顧客のデバイス(クライアント)にデータを保存する代わりに、サーバーサイド(適切な場合)で保存できます。
モバイルデータを包括的なデータサプライチェーンに統合する理由と方法
モバイルデータの管理に、新しい技術を選ぶだけではなぜダメなのでしょうか?今の時代、ほとんどの人がモバイル端末を使っているのではありませんか?
いいえ。モバイルの広告が多すぎて、重要なチャネルはモバイルだけに見えるかもしれません。しかし、顧客は、一貫性のないエクスペリエンスを、モバイル、サポート、Webなど、どこで発生しても、同様に厳しく評価します。顧客は、モバイルだけ、ウェブだけ、店内だけにいるわけではありません。複数のチャネルに関わっています。そのため、データと実行を分離すること(英語)が非常に有効です。
顧客がモバイルのカートに商品を追加してから、店舗でその商品を購入するとどうなるでしょう?顧客がモバイルのカートに商品を追加してから、店舗でその商品を購入するとどうなるでしょう?たとえば、その顧客が、購入した商品のオンライン広告で、リターゲティングされるかもしれません。たとえば、モバイルブラウジングや店内データに関連するクロスセルプロモーションにより、その顧客をターゲットにすると、顧客エンゲージメントにつながり、プラスの収益を得る機会になることは言うまでもありません。
では、モバイルデータを他のデータと、包括的データサプライチェーンとして統合するにはどうすればいいでしょう?まず、中心的ハブからモバイルと他のデータソースを収集する機能から始まります。つまり、JavaScriptトラッキングタグ(モバイルかどうか問わず)、SDK、その他の方法(オフラインデータ取り込みなど)で収集されたデータは、最終的には一か所に集中されます。
次に、これにより、色々な形式と分類を持つすべての異なるソースからの全データを標準化、整合、および統合する必要があります。こうしないと、データはサイロ化したまま、関連性のない、さらに悪ければ、まったく不確かなサイロ化した顧客体験につながります。
さらに、標準化および統合したこのデータを、リアルタイムで実行可能にする必要があります。つまり、このデータは収集時に変換後、様々な宛先に直接ストリーミングされ、カスタマーエクスペリエンスを直接向上して、さらなる分析やインサイトに使用できる必要があります。これには、クライアントサイドとサーバーサイドの双方にデータを配信する機能と、イベントレベルと顧客レベルのデータ処理機能が必要です。最終的には、顧客を中心に構築された柔軟なプロセスによって活用される柔軟なテクノロジーになります。
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